Oさんに紅茶の作り方を教えていただきました。
Oさんの家は、山をどんどん登って行った、戦後の開拓地に建っています。
Oさんの家でも、我が家でも同じですが、林の中をきれいにすると、お茶の木が現れます。1960年代まで、この辺りの人たちはお茶も自分でつくっていました。それが耕作放棄地となって篠竹やクズに覆われたために根だけ残ったり、生存を賭けて林の中に逃げ込んだりしていたお茶が、下草を刈ってきれいにすると、眠りから覚めて、再び元気を取り戻すのです。
これは、Oさんがその前日に摘んでおいてくれていたお茶の葉を、一晩、風通しのいいところで乾かしたものです。
それを両手で包めるくらいの大きさにとって、巻き簾の上で押さえつけながらくるくる回して揉みます。
揉んでいるうち、葉に傷がつき、よじれます。
葉の形状をとどめなくなり、粘りが出てきたら出来上がりです。
揉み終わった茶葉は、温かくして発酵させます。
揉んだ茶葉の一部を、おみやげにくださいました。
私が持参したクーラーボックスに、Oさんが、40度ほどのお湯を詰めたジップロックを入れてくれました。それに、揉んだ茶葉を紙に包んで乗せ、 さらに乾燥を防ぐため、濡らして絞った紙をその上に置いきました。
持ち運ばない時は、クーラーボックスの中にお湯を入れた鍋を置き、その上に茶葉を入れたざるを置いて、濡れ布巾をかぶせます。
この状態で、4、5時間発酵させます。
さて、こちらはOさんが、その朝仕込んで発酵させておいてくれた茶葉です。
ホットプレートにクッキングシートを敷き、その上に茶葉を乗せて、 110度で15分くらい乾燥させます。さらに温度を下げて、もう10分くらい乾燥させます。
最初はしっとりしていた茶葉から、だんだん水分が抜けていきます。
さっそく、出来立ての紅茶をいただきました。
お湯を注ぐと、茶葉が開きました。
「おいしい!」
紅茶は風味があり、苦みがなくて、とっても美味でした。
夕方、お土産にいただいてきた茶葉をクーラーボックスから取り出すと、すっかり色が変わっていました。
それを、ホットプレートに広げて乾燥させます。
教えていただく前は、我が家の周りにいっぱいあるお茶の葉を摘んで、紅茶をつくってみようと思っていましたが、いただいたものだけで全部で105グラムもの紅茶ができてしまいました。
これでは当分、新しい紅茶をつくる必要がありません。
Oさんありがとう。
紅茶は今時分だけでなく、夏の葉でも秋の葉でもできるそうなので、飲んだらまたつくってみます。