2009年6月19日金曜日

ユーカリ


小さい頃、私と弟は祖父母に預けられていました。祖母は小説や雑誌は子どもの敵と思っているような人で、我が家には子ども向けの本などまったくありませんでした。ですから、欲しいだけ本を買ってもらえるいとこの家に行くのが、それはそれは楽しみでした。
バスを乗り継いでいとこの家に着くと、挨拶もそこそこに、私と弟は本棚の前に座り込んで、新しい本を隅から隅まで読みました。ついに読む本がなくなってから、やっと腰を上げて、いとこと遊ぶのでした。
いとこの家の前は小学校で、校庭には太いユーカリの木がありました。ユーカリの木はとても珍しく、あたりには独特の香りが漂っていました。

時は過ぎて学生時代、美術史の時間だったか、なぜか葉っぱの話になっていて、「左右対称でない葉っぱを知っているかい?」と先生に質問され、手を上げて「ユーカリの葉」と答えたことがありました。当時はユーカリもほとんど知られてない時代でした。

その後、仕事を通して、東南アジアやアフリカで、何十種類ものユーカリと出会いました。ひょろひょろしているの、どっしりしているの。大嫌いなユーカリもありましたが、好きなユーカリもありました。ユーカリは、交配種も含めると千種類を越えます。

真鶴で、友人が古い家を借りているのですが、その庭には大きなユーカリが何本もあります。日本で個人の庭にユーカリを植えてあるのは、初めて見ました。なにせ巨木になりますから、庭が広くないと植えられません。
大きい方の実(直径2センチくらい)は、その友人宅で拾ったものです。でも、小さい方はどこで拾ったのでしょうか?いつのまにかありました。いつまでもいい香りがしています。

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