2010年6月29日火曜日

真竹の筍





私の住んでいる八郷盆地は、三方を山に囲まれています。盆地は単純な形ではなく、ひだひだになり、そのひだは深く、起伏に富み、複雑に入り組んでいます。
もう10年も住んでいるのに、まだ、通ったことのない道があります。そんな道を見つけて、時間があれば通ってみますが、まだまだ、全道踏破には程遠い状態のようです。思いがけないところに、道があり、集落があったりするのです。

整体師のKさんからの帰り、恋瀬川の河川敷で真竹の筍が採れるという話につられて、盆地の中では比較的大きな川又平野(と言うほどでもないか)に沿って、川に突き当たるところまで行ってみました。




確かに、にょきにょきと筍が伸びています。
真竹の筍は今が旬です。孟宗竹の筍と違って、あく抜きせず、すぐ食べられるのが、手軽なところで、昨日も、イカとにんにくと一緒に炒めて、食べたところでした。

突き当たりの家の前に停めて、車を降りてみますと、人影が見えました。いくら河川敷の筍とはいえ、余所者が折って持って行くのはいい気持ちがしないだろうと、筍は端からあきらめましたが、恋瀬川の水面を見ようと、しばらく、土手沿いに歩いて行ってみました。
真竹が途切れても、河川敷は丈の高い草で覆われていて、どこまで行っても水は見えそうにありません。しかたなく引き返すと、突き当たりの家のおばちゃんに会いました。

川を見たかった話をすると、「家の庭からなら見えるから」と、庭の中に案内してくれました。

おばちゃんの話では、大正時代まで、道路より川の方が重要な輸送網でした。川に面しているその家は、あたりの物資の輸送を一手に引き受けていて、舟で石岡へ、そして海へと運びました。そのため、屋号は、今でも「川岸屋」と言うそうです。

ちょっと、想像できないことでした。今では、川岸屋のあるところは村のはずれもはずれで、県道からは遠く、道は行き止まりで、村の人さえもあまり来ないようなところでしたから。




庭を進むと、川面が見えました。
裏山の土砂が崩れて(おじいさんが裏山の石を掘り出したからだそうです)、地形は当時とは変わっていて、川岸には降りられませんでしたが、数キロ上流では小川のような小さな恋瀬川が、川又では、すでに堂々とした川の風情すら漂わせていました。





おばちゃんは、手入れが行き届いてないと恥ずかしがっていましたが、素敵な庭で、一角では、自家消費用のしいたけも栽培していました。




筍は、帰ってから、近所のたけさんの竹藪からいただいてきました。
このあたり、筍を喜んで食べるのは、シーズン中一度くらい、あとは誰も採らないものだから、たけさんの竹薮にも、筍はわんさと生えていました。
明日は息子が泊まりに来るので、筍入りのタイカレーでもつくりましょうか。あるいは、筍入りの、クスクスでもつくりましょうか。

2 件のコメント:

  1. 真竹ってこんな時季なのですね。
    こっちでは孟宗竹ばかりなので、こんな時季の筍、あれれ・・・って思っちゃいます。

    写真、見てもずいぶん前の田園風景ですね。(笑)

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  2. Shigeさん
    真竹は籠づくりなどに欠かせない竹みたいですがそちらにはあまりありませんか?昔は籠師の方が回ってきたり、竹を買って行ったりで、竹薮はきれいに整備されていたようですが、今では、どこでもはびこって、イノシシなどの温床になっているようです。
    そうなんです。ここは、タイムポケットに入っているようなところなのです。子どもたちに着物を着せれば、そのまま日本昔話の世界です。

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