2011年1月19日水曜日

痛い串団子





古い写真です。
真ん中の、小さな腰籠に入った、植物の実は、手元にはもうありません。

もう25年も前のことです。北部タイに人を訪ねていました。
ピックアップトラックに三人で腰掛けて走っていたのですが、途中で出会ったお坊さまを、あるところまでお送りすることになりました。お坊さまには、助手席を譲らなくてはなりません。

女性はお坊さまの手どころか衣にすら触ってはいけませんので、私が荷台に移動しました。
トラックの荷台には、両側に座席を設置してありました。荷台には私だけでなく、数人乗って、ごった返していたような気がします。交通機関の少ない農村を走っているとよく、見ず知らずの人を乗せてあげることがあります。
舗装していない道路を、激しく揺られながら行くと、道端に、珍しい草の実が見えました。

大声で、「停めて!」と叫ぶと、運転していた、元同僚のコメンさんが、すぐ車を停めて、草地に分け入り、欲しい実のついた茎を何本か折って、荷台へ投げ入れてくれました。何も伝えませんでしたが、私が何故車を停めたのか、彼にはわかっていたのです。

この実は、草の上にすっと茎だけ高く伸びていて、その茎に、10センチおきくらいに、ピンポン玉くらいの大きさの実をつけていました。
まるで、空に伸びた串団子のよう。団子は3個から6個くらいついていました。

見た目はとっても可愛いのですが、トゲが硬くて鋭く、持ち運びに苦労しました。また、茎が軽くて団子が重いので、串刺しのままでは、なかなかうまく飾っておくことができず、倒れると危険なので、しかたなく、ぶつぶつ切って短くしました。

当時(も今も)、我が家には、ものがあふれていました。大きい家に引っ越す予定もなく、限られたスペースの中で、痛いこの実をもてあまし、いつだったか、とうとう処分してしました。

あれから、一度だけ、まだ緑色のこの実に出会ったことがあります。
植物に詳しいタイ人たちも名前を知りませんでしたが、また会うことがあるでしょうか?





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