2010年1月31日日曜日
マングローブの種
今回訪ねたクラビの友人の家は、アンダマン海の、夕日を望む西海岸に面していました。地形としては細い、小さな半島が南に張り出している突端のあたりで、十年ほど前は森だったところ、今はホテル街になっている場所を抜けて、東海岸にも歩いていけます。 しかし北と南には高い石灰岩の岩山がそそり立っているので、東西には歩いて抜けられるものの、その地域自体は孤立していて、ボートでないと行けません。広い道路もないし、もちろん車も一台もありません。 西海岸は美しい砂浜ですが、東海岸は泳ぐには適してない遠浅の泥浜で、マングローブが生えています。海洋生物には、とても過ごしやすい場所だったことがうかがえます。
しかし、急速な観光化で、宿泊施設やレストランの下水が海に向かって流れ込み、増え続けるゴミで浜は汚れ、マングローブもどんどん元気を失い、少なくなっている感じでした。
泥浜にはホウガンヒルギ(Xylocarpus granatum)の種や、
ベニマヤブシキ(Sonneratia caseolaris L.)の実なども落ちていますが(手振れ写真で失礼)、
波頭線にはごみがたまり、ウルトラマンの姿も見えました。
これは東南アジアのマングローブ林域では、主要構成種であるフタバナヒルギ(Rhizophra apiculata Bl.)です。担根体の先端部分がもっとも太く、落下して泥にうまく突き刺さる構造になっています。 いいかげんにかばんに詰めて持ってきたら、残念ながら果実の苞の先が4個あるうち、3個まで折れていました。 担根体はフタバナヒルギの生えている周辺で拾いましたが、果実は西海岸の砂浜で拾いました。
ホウガンヒルギは砲丸のような丸い実をつけ、熟すと果実の外皮が割れて、ジグソーパズルのように詰まっていた、不定形な種子がこぼれ落ちます。 泥の浜だけでなく、西海岸の砂浜でも、道路の通じている船着場の砂浜でも、たくさん見かけましたが、虫に食われているものがほとんどでした。おいしいのでしょうか。 これは、西海岸で拾ったものです。
2010年1月28日木曜日
レンガのかけら
タイ南部の友人の家で、「浜辺でなにを拾ったんだい?」と言われ、これを見せたら、「なんだ、これはレンガのかけらだよ」、と言われてしまいました。わかっています。
以前、カンボジアのコンポン・ソムでは、素焼きの漁具の一種を拾ったので、クラビの浜でも期待していたのですが、全然見つかりませんでした。
そして、代わりに拾ったのがこのレンガです。でも、私はレンガのかけら、けっこう気に入っています。
かわいいじゃないですか。
波にもまれたものって、ほんとうに素敵です。
朝、浜辺を歩くと、小さなカニがせっせと働いて、いろいろな模様を砂の上につくっていました。
朝日があたると、いっそう鮮やかでした。もっとも、ジョギングする人や散歩する人がきて、観光客もきて、さらに潮が満ちて、模様はすぐに消えてしまう運命にあるのですが。
2010年1月27日水曜日
モダマもどき
海岸で、モダマのような実を拾いました。でも、実には、昆虫のような模様がくっきりとついています。こんな模様のついたモダマがあったかしら?
横から見ると、外皮が割れて、中に種のようなものが見えます。
「中に何が入っているのだろう?」と、割ってみました。
モダマにそっくりな種が入っていました。しかし、中心あたりを指で押してみると、モダマのように堅くなくて、ちょっとぺこぺこする感じです。
モダマは、莢も持っています。莢を割って実を取り出してみたことはないのですが、振ると、からからと音がします。模様のついた殻に入ってから莢に入っているなんて、考えられません。
それにしても、よく似ています。○○モドキという名前は嫌いですが、モダマモドキとしか、言いようがありません。
そして、もう一つのモダマモドキです。
この中に、石が一つ紛れ込んでいます。さて、石はどれでしょう?
2010年1月26日火曜日
ちいさなヤシの実たち
カブダチクジャクヤシ(Caryata mitis Lour.)は、小木で叢生するので、熱帯の庭づくりには欠かせないヤシです。でも、カブダチクジャクヤシというより、英語のFish tail Palm、「魚のしっぽヤシ」の方が、ずっと体を現している感じです。ちょうど魚のしっぽのような、ひらひらした三角形の葉をつけます。
カブダチクジャクヤシの実は、上の真ん中のものです。もう紫色になっていますが、熟したときは、赤、または真紅です。表皮を剥くと、上右のような種が入っています。
ところで、同じ場所で、下の真ん中の実と、下の右の種も拾いました。最初はカブダチクジャクヤシの実だと思って拾いましたが、違う実のようです。
下の真ん中の実を剥くと、右の種が出てくるのかなと考えて、剥いてみようとしましたが、あまりにも硬いので、早々にギブアップしました。
そして、左のまん丸な実、これもヤシだと思うのですが、こちらは庭ではなくて、砂浜で拾いました。
2010年1月25日月曜日
モモタマナ
ターミナリア・カタパ(Terminalia catappa)、あるいは英語でAsian Almond(Sea almond、Indian almond)として親しんでいた木が、日本語ではモモタマナと呼ばれていることは、これまで気にしたことがありませんでした。
だから、ビーチコーマーさんたちのブログで見ても、モモタマナとターミナリア・カタパは、まったく結びつきませんでした。今回、改めて発見しました。
○○モドキ、○○サクラ、ニセ○○、南洋○○なんて名前が溢れている、日本語の熱帯植物の本の中にあって、英語や中国語の和訳でもなさそうな、モクマオウ、タガヤサン、モモタマナなどは、いったいどうやってつけられた名前なのでしょう?
ターミナリア・カタパはとってもありふれた木です。あまりいい写真ではないのだけれど、右や真ん中の葉の大きい木です。海岸以外ではまっすぐ立って、枝を、水平に近い感じで放射状に出すので、傘を重ねたような形になり、暑い地域では、本当によい日陰をつくります。
そして、元からあった浜より、どちらかといえば観光地っぽい浜辺には侵食を防ぎ、塩風を防ぐために、たいていターミナリア・カタパが植えてあります。塩に強く、風にも強く、乾燥にも強く、病気にも強い、実は食べられるという、言うことなしの木なのです。もっとも、実を食べている人を見たことはありませんが。
ターミナリア・カタパは、熱帯の木には珍しく、乾季に紅葉して、一時、葉を落として丸坊主になります。そして、1週間もしないうちに、それはそれは柔らかな黄緑色の新芽を出して、短期間に紅葉と新緑を味わえます。
2010年1月24日日曜日
はじける莢
今回の旅で、旅程の半分を過ごしたタイ南部の友人宅は、全体に高床になっていて、屋根のない居間の役割をしているテラスを中心に、台所+食堂棟(右)、寝室棟(手前)、書斎棟(奥)が配置されていました。
ほとんどの時間をこのテラスを過ごすので、テラス一部には、屋根つきの東屋もしつらえてありました。
ここに座っていると、ときどき「パキーン」というような、大きな音を立てて、ちょうどこの写真の屋根のあいだに見えている緑のあたりで、なにかがはじけていました。
なんだろうと思って見に行ったら、この豆でした。名前はわかりませんが、蔓の豆です。
日本でも、森や林では、よじ登るフジ、アケビ、クズなどの蔓で、立ち木がぐるぐるまきにされ、絞めつけられ、やがては枯れますが、熱帯でも蔓はたいへんのさばっています。しかも、熱帯では、枝の途中に根を下ろす宿木も、数と種類がたくさんありますし、「絞め殺しの木」と呼ばれるクワ科の木もいっぱいあるので、ほんとうに、どの木もうかうかしていられません。
この蔓は、あまりのさばっているので、友人が数日前に切った蔓です。しかし、木の高いところにもちゃっかり根を下ろしているので、全部が枯れたわけではなさそうでした。
豆には失礼ですが、小さな、平べったい、見栄えのしないやつでした。モダマだったりしたら、私が泣いて喜んだでしょうに...。
絞め殺しの木はこんな木です。これは、プノンペンの街路樹、タマリンド(Tamarindus indica Linn.)にインドボダイジュ(Ficus religiosa Linn.)が取りついているところです。もうタマリンドの幹はみえなくなっているので、そうとうやばいのですが、相手は仏教の聖なる木で、仏教徒の人は絶対切りませんから、なんともならないのです。
王宮の横の街路樹は、ほとんどがこれにとりつかれていました。インドボダイジュなど、クワ科の実(いわゆるイチジク)はおいしいので、鳥の大好物、どこにでも糞をするので、どこにでも生えてきます。
2010年1月23日土曜日
センダンに似た種
タイ南部のクラビの浜辺でこの種(右)を見たとき、「んっ?見覚えがあるぞ」と、思ったのですが、しばらくして、センダンとそっくりなことに気づきました。大きさは倍くらいですが、それにしてもよく似ています。○○センダンの種なのでしょうか。
○○センダンといえば、インドセンダン(ニーム、Azadirachta indica)は乾燥地の街路樹としても、薬樹としても有名で、アジア、アフリカの各地で植えられていますが、タイでは、この時期だけ、新芽が市場で売られています。とっても苦いのですが、彼らは好んで生食するのです。
でも残念、ニームの写真は撮りませんでした。写っているのは、バナナの花、空芯菜、ショウガ、ライム、クラチャーイ、カーなどなど。
2010年1月22日金曜日
2010年1月21日木曜日
2010年1月20日水曜日
オオバナサルスベリ
オオバナサルスベリ(Lagerstroemia speciosa)は、白っぽいピンク色の花から、だんだん濃い、紫がかったピンクに変わっていく様が美しいので、街路樹としてよく使われます。
プノンペンでも、これから、あちこちの通りが紫色に変わるのが、見られるはずです。
そして花が散るとすぐに、丸い実をつけます。
木によっては、まだ昨年の実を残しているものもあります。
小さな籠に入れて、持ち帰ってみたら、堅かった実が乾燥したのか、中の種がこぼれ落ちていました。実はよく知っているのですが、中の種をしげしげと見たことはなかったような気がします。
2010年1月19日火曜日
プノンペンとクラビの旅
とても久し振りに、カンボジアの首都プノンペンと、タイ南部のクラビに、友人を訪ね、旧交を温める旅をしてきました。
今は乾季たけなわ、1年のうちでもっとも過ごしやすい時期です。プノンペンでは、街路樹のLagerstroemia speciosaがちらほら咲いていましたが、花盛りの季節はまもなくです。
これは、メコン川とサップ川が合流するあたりの、川に近い宿のテラスからの風景です。王宮前広場の向こうは王宮で、右手には、この写真には写っていませんが博物館があり、その近くに、私が3年間過ごしたアパートがあります。
アパートの窓から、フンセン首相が自家用ヘリコプターで王宮に降り立つのが見えたり(他には自家用ヘリコプターなど使う人がいないので、首相とわかります)、博物館に住む100万羽ともいわれるハウス蝙蝠が、夕暮れの中を出勤するのが黒いリボンになって見えたりと、なかなか素敵なアパートでした。そして、オートバイの音は夜遅くまでひびき、下を見れば家のない、路上で暮らす家族が歩道に寝ていました。
今回、プノンペンで驚いたことは、オートバイの後に座る女性が横座りでなく、またがって座るようになったこと、そして、マスクをしている人がたくさんいたことでした。びっくりしました!!
クラビの友人の家は、ビーチから船に乗ってしか行けない海岸にありました。この写真の左右の岩の真ん中あたりに、そのビーチがあります。25年ほど前、友人夫婦がここを買おうと見に来たときは、ビーチの後は誰もいない熱帯林だったそうですが、今ではホテルやコテイジがたくさん建っていて、西洋人の観光客で溢れていました。
ホテルの宿泊代を聞いてびっくり、最低で一泊一部屋75,000円というホテルもありました。ちなみにそのホテルの最高は一泊18万円です。いったいどんな人が泊まるというのでしょう。
もっとも、浜辺にござを敷き、寝袋で寝ている人もいました。
これは、この旅で私が拾ったものです。おいおい、紹介していきたいと思います。
2010年1月8日金曜日
ターミナリア アラータ
2010年1月7日木曜日
グアヴァ
マンゴスティンや釈迦頭のように、グアヴァ(Psidium guayava)の乾燥させたものもあります。
グアヴァは、香りのある、ねっとりとした味が特徴ですが、タイ人は何故か、まだ熟れてない、がりがりと歯ごたえのある状態で食べるのが好きです。甘さもまだ十分ではなくて、口の中には硬い種とともに、かすのようなものも残るし、最初は、「なんで?」という感じですが、慣れるとこのがりがり感がくせになります。さわやかなのです。
台湾人の友人がグアヴァ茶をくれました。熱いお湯を注いで、お茶にして飲むのだそうです。でも、一度もお茶として試していません。口が寂しいとき、ちょっと出してはかじって、しゃぶって、グアヴァの味を楽しんでいます。
これは、ジャックフルーツ(Artocarpus heterophyllus)の種です。中の種が干からびて小さくなり、薄い、張りのある薄皮とのあいだに隙間ができて、ぷよぷよとした、おもしろい手触りになっています。
ジャックフルーツは20キログラムもあるような大きな実をつけるので、枝の先ではなく、幹に直接実をぶらさげます。
プノンペンにいたころ、事務所の窓すぐそばにジャックフルーツの木があって、毎年大きな実をいくつもつけて、目を楽しませてくれました。
黄色い果肉を食べますが、実が若いころは皮ごと薄切りにして、スープに入れたり、煮物にしたりします。また、種も炒ると、おいしく食べられます。
2010年1月6日水曜日
2010年1月5日火曜日
割れた実
探し物をするついでに、居間の地下の物置に置きっぱなしだった、クラティップ・カーオ(蒸したもち米用のお櫃)を家の中に運んできました。
そうしたら、中には、いろいろな種が一杯詰まっていました。ただ、いろいろな温度と湿度の変化があったのか、ずいぶん実がはじけてしまっていました。
これはジャカランタの実の割れたもの。でもどんな種かわかりませんでした。口がちょっと開いたものを見てもよくわからない。たぶん、種はずっと前に落ちてしまっているのでしょう。
そして、これはスオウの種です。スオウの実の中には小さな白い虫がいて、せっせと働いていました。赤の染料は木の枝からとりますが、莢からもとれそうです。
いろいろ割れて残念ですが、「植えてよ」という植物からのメッセージかもしれません。