子どものころから、魚釣り用の木の浮きが好きでした。
轆轤で挽いた、丸や紡錘形の浮きで、赤、黄、白などの色が塗ってある、手づくりのものでした。
学生時代には、港町などに行くと釣り具屋さんを探して、気に入った形の浮きを見つけて、ハンドバッグ代わりに持ち歩いていた魚籠にぶらさげたりもしていました。
ガラス浮きは大学1年のとき、友だちと行った伊豆下田漁港の漁具屋さんで、初めて目にしました。こんなきれいなものがあるんだと感激、そのとき買ったガラス浮きは、今も大切に持っています。
白樺の木の皮をはいでつくった漁網用の浮きを知ったのは、Shigeさんのブログででした。ロシアや北朝鮮で使われているものらしい、北海道から福井のあたりまでの日本海岸に漂着します。
その後、若狭の海岸では初めて白樺の浮きを
自分で拾いました。そのとき、一緒にビーチコーミングをした人が、あとのモビールをつくる時間に、それを輪切りにして使っていましたがとんでもないこと、私は一つ残らず大切に持ち帰りました。
どんだけ白樺の浮きが好きなのとあきれた北海道ののらさんが、
漁網ごと打ちあがっていた浮きをたくさん送ってくれ、一挙に白樺の浮きの長者になりましたが、今回の北海道への旅でも
2つばかり拾いました。私の白樺の浮き熱は今も衰えることなく続いています。
そんなおり、ネットでスウェーデンの白樺の浮きを見つけました。
日本人骨董商のKさんが、スウェーデンで見つけたもの、普通は真ん中に石が包み込まれた魚釣りの錘(おもり)だそうです。
ところがこれは、石が入ってなくて中まで白樺なので、Kさんは不思議がられていました。
よく水に浮くので、これは錘ではなくて浮きに違いありません。
北欧の漁師さんたちは、白樺の樹皮の特性をよく知っていたはずです。
皮をはぎさえすれば勝手にくるっと丸まって、それだけで浮きにできるのに、どうしてこんなに手の込んだ浮きをつくったのでしょう?
そんなことからも、この浮きは、たくさんの浮きを必要とする漁網用の浮きではなくて、釣り人用の浮きだったのでしょうか?
また、石を白樺に包んだ漁網用の錘(おもり、沈子)は、漁師さんが自分でつくることができる、最も身近な錘だったことでしょう。
浮きの一面には釘が打ってあり、字が書いてありました。
厚みはこんな感じです。
日本海側の海岸に漂着するロシアか北朝鮮の白樺の浮きは、最近では減りつつあるそうです。
次第に発泡スチロールの浮きなどに取って代わられているのでしょう。
ネットで、フィンランドの浮きを見つけました。
真意のほどはわかりませんが、18世紀のものと書かれています。北欧にも木の浮きもあったのですね。
北海道には白樺がたくさん生えているのに、日本には白樺の浮きをつくる伝統はなかったようです。
今回、北海道に行ったときに資料館などで見たのは、木の浮きとガラス浮きでした。