子どもたちが小さかった頃、東京郊外の新興分譲地に住んでいました。まだ空き地の方が多く、山を削った分譲地も、年月を経るとしっとり森のようになるかと、庭に辛夷の苗を2本植えました。
あれから数十年、分譲地は緑濃くなるどころか、家々の木は小さく刈り込まれ、無機的な景観は美とは程遠いものとなっています。
私たち家族は、十年足らず住んだ後はその地へ再び帰ることはなく、大きく育った辛夷は、ご近所の鼻つまみものとなっていました。
八郷に来てしばらくして、掘り易い1本は植木屋さんに頼んでこちらに移植してもらいました。「辛夷の移植は難しいよ」と言われたとおり、移植後5年ほどは花もあまり咲かなかったのですが、今ではすっかり根を張り、早春にはいち早くたくさんの花を咲かせ、春を告げてくれます。
石垣近くのもう1本は残念ながら、土地を売るときに切り倒してしまいました。せめて薪ストーブの薪にしてやりたいと願い、軽トラックで運んできました。
その移植した辛夷、幹の直径は30センチほどでしょうか、刈り込んだ枝も伸び、毎年今頃実をつけます。真っ赤な実がさやに入っていて美しい。ずっと変色しないと最高ですが、だんだんしなびてしまいます。
結構あちこちで発芽していて、抜いたり切ったりしないで残すようにしているのですが、気がつくといつの間にか消えていて、まだ二世は育っていません。
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