庭には、母の叔母から母へ、そして母から私へと株分けされたタマカンアオイがあります。
毎年、冬の間は見るのを忘れて春になり、そろそろ草むしりが必要になった頃に、やっと枯れそうになった花を見つけることが続いていました。
今年はどうかしら?
と、珍しく冬の間にチェックします。
数年前に株分けしたところのタマカンアオイを見ると、まだ花の気配がありません。
では、元々の株はどうかと見ると、最初から植えていた方は、石垣の上で土の湿り気が足りないからか、夏場に西日が当たるからか、葉がずいぶん傷んでいて、美しくありません。
しばらく前から気にはなっていたのですが、中にタマカンアオイにしては大きな葉が二枚ほどあります。
どうしたのだろうと、じっくり見ると、茎の感じも少し違います。
茎が一ヶ所からたくさん出て、奥の方の葉は、原種シクラメンの葉とそっくりです。そういえば、大きい葉もシクラメンの葉のようです。
タマカンアオイの葉とよく似てはいるので、突然変異だとばかり思っていましたが、シクラメンに違いありません。
抜き取ってみると、まごうことなき、原種シクラメンでした。やれやれ。
近くにシクラメンを植えていないのに、いったい何処からやって来たのでしょう?誰が運んだのでしょう?
パレスチナでは、オリーブ畑の石垣のそこここにシクラメンが群生して咲いていました。あんがい繁殖力が強いのかもしれません。
裏返して、土を落として見ると、球根は直径35ミリほどになっています。
もう長いこと、あそこに生えていたに違いありません。
冬以外はサツキの葉が生い茂って、目立たないところですが、シクラメンがタマカンアオイを脅かしていたのかもしれません。
「あれっ?」
抜いたシクラメンに、イカの口のようなものがくっついています。
シクラメンについてきたタマカンアオイの小さな株でした。
蕾がついていたのでした。
まだこんなに小さいので、すっかり見逃していました。
というわけで、元気なタマカンアオイの根元も少し掘ってみました。
ありました。
まだまだ硬い蕾でした。
シクラメンは邪魔にならないところに植え、タマカンアオイは、迷いましたが新天地に植えました。一ヶ所に植えて、土地が合わないことを心配してのことですが、こんなことをやっているから、庭がごちゃごちゃになってしまうのです。