2013年4月13日土曜日

リンゴ


「リンゴ持って行く?」
と、Kさん
「どうしたの?」
「二袋も貰っちゃったんだ」
福島県二本松のリンゴが、全然売れなくて、Nさんが十袋貰って来たものだそうです。
「セシウムは不検出だって」

Kさんも、Nさんも有機農業にこだわっている人です。だからこそ、減農薬にこだわってリンゴをつくって来た人の気持ちが、痛いほどわかるのでしょう。
「もらっていく」

十個ほど貰ってきました。


サツマイモと一緒に煮ていただきました。

息子の以前のガールフレンドの実家は郡山のリンゴ農家でした。お父さんが一人でリンゴをつくり、家のことはおばあちゃんが切り盛りしていました。
原発事故の時、何を捨ててもすぐ逃げろと言う息子に対して、
「あなたには、ずっとリンゴをつくって来た人間の気持ちなんてわからない」
と、取り合わなかった彼女。
関係はぎくしゃくして、とうとう別れてしまいました。

そんなことを思い出したリンゴ。甘いのにほろ苦いリンゴです。


「放射能は、セシウムは..」
と言わないでもいい日々は、永久に失われてしまいました。


2 件のコメント:

Shige さんのコメント...

以前から食い物には気をつけていましたが、ホント余計な心配ばかり・・・

秋刀魚、喰いたいけど・・・やっぱ躊躇しちゃいます。

大好きな魚、日本海側のものばっかりになった昨今。

そんな心配せずに喰っていたんですよね。

海のコト、少しばかり知ってるだけに、余計に秋刀魚が喰えないんですよ。熊野あたりでおいしい干物も作られますが、回遊して南下してきたれんちゅうですからね。

さんのコメント...

Shigeさん
タヒチに住んでいる人が言っていました。どうして日本人は平気で魚を食べているのかと。彼は核実験反対で二年もかけて世界を回った人で、ビキニ環礁に近い島々では、今でも甲状腺異常や各種がんの人をたくさん見るそうです。そして、絶対にこのあたりの魚は食べてはいけないって。
不検出は「基準値以下」ってこと、ゼロということではありません。
京都に住む旧知の人で、原発に反対していたのに止められなかったからといって、自分のつくった野菜を被災地に届け続けて、代わりに彼らがつくっても売れない野菜を、「これが自分の責任の取り方だ」と言って食べている人がいます。その話を聞いた時は息を飲みましたが、南北問題の解決なくしては、何も解決しないと常々言っている夫は、「そんな安っぽい責任の取り方はない。それじゃアジアやアフリカにはどう責任を取るんだ」と憤りますが、いずれにしても、どっちを向いても閉塞感はなくなりません。