2009年6月14日日曜日

メコン川の石


カンボジアはメコン川下流域にある国です。もちろん最下流はヴェトナムですが、全長4,600キロメートルのメコン川からすれば、カンボジアは下流域となるのです。
メコン川の水位は、プノンペンで、雨季と乾季では8メートルくらいの差があります。雨季に飛行機からカンボジアを見ると、もう水浸しで、どこに人が住んでいられるのかと思うのですが、地上に降りてみると、人は水と水のあいだでちゃんと暮らしています。しかも、大小の舟で、乾季より行動範囲が大きくなったりします。
カンボジアに住んでいたとき、どの県を訪ねても小石を拾うのが楽しみでした。とりわけ、メコン流域の地域では、道でも、県庁の敷地でも、どこでも、小さな石がそこいらじゅうに落ちていました。
メコン川でもまれた丸い石は、宝石のようです。拾わないでは通り過ごせません。いっぱい持っているのに、ついつい、また拾ってしまいます。舗装されているプノンペンの町を歩いているときさえ、どのあたりにいい石が落ちているか知っていて、ついつい素通りはできないのでした。
上流や下流の町に行くために、何度も何度も舟でメコン川を下ったり上ったりしました。広いところは川幅が1キロもあって、両岸が見えません。川イルカが生息しているところもありました。
私は川のほとりで育ったので、川のほとりに住みたいと願っていましたが、今は山の中に住んでいます。今住んでいるところは山も木もきれいで申し分ないのですが、「ああ、我が家の目の前にメコン川が流れていたらなあ」というのが、私の欲張りな、かなわぬ愚痴なのです。

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