「こいつさぁ、柱のてっぺんまで上っていたぜ」
と、夫が低い方のコンクリート柱を指差します。
んっ、こいつって誰?
足元を見ると、蜘蛛を狩るというベッコウバチが獲物を運んでいました。
型枠を設置しているので、ベッコウバチの行く先々が障害物だらけです。柱に登っていたなんて、どこへ行くべきか、ちゃんとわかっているのでしょうか?
垂直な壁は、決して獲物を離さず、まず自分が後ろ向きに登ってから、蜘蛛を引き上げます。
それにしても、速いこと、速いこと。
自分より大きな蜘蛛を引っ提げているというのに、軽やかに急ぎます。
ベッコウバチは、自分の体より大きなクモに毒針を刺して麻酔をかけ、麻痺して動けなくなったクモを土中の巣穴まで運ぶそうです。
やっと、工事現場を抜けました。
蜘蛛はときおり、弱々しく脚を動かしています。
巣穴に入ると、ベッコウバチはそこに産卵して、孵化した幼虫は身動きできなくなったクモを餌にして成長するのだそうです。
お気の毒さまでした。
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