2016年12月20日火曜日

ウニの茶釜狸

骨董市で、おもちゃ骨董のさわださんの店に段ボールの箱が所狭しと並んでいることがあります。
「どれでも100円」
煤けた、お土産ものやがらくたが折り重なっていて、
「こんなゴミみたいなもの、買う人がいるのかしら?」
と、冷ややかに見ているのですが、なんのことはない、目はちゃんとチェックしていて、自分が手を伸ばしていることもあります。


ぶんぶく茶釜のタヌキには、「石廊崎(いろうざき)」と、右から書いてあります。ということは、戦前のものでしょうか?
石廊崎は伊豆半島の最南端ですが、吉田拓郎の歌の『襟裳岬』風に言えば、何もないところです。もちろん、灯台はありましたが、1960年代でさえ、下田から先は電車もなくて、道も全然舗装されていませんでした。
戦前に、いったいどんな客を目当てに土産ものをつくったのでしょう?


このタヌキ、身体はバフンウニ、茶釜の蓋の取っ手は小さな巻貝、


足はウノアシ(一つ取れている)、


そして、頭と大きな尻尾は椿の種でできています。


頭は、竹串のようなものにさしてあって、


動かすことができます。


タヌキの右はタニシの人形、その右はクルミの人形、そして、一番右は、ソテツの種の豚です。
どんぐり人形もいろいろあるし、自然の産物を利用した人形は、作った人の姿が目に浮かんで、なかなか見飽きないものです。







2 件のコメント:

mmerian さんのコメント...

木の実人形を集めようと思ったけれど、なかなか出合えません。(壊れて可愛くないのならたまにありますが)ウニ殻は古いと壊れちゃうのでそう古くないのではないですか?

さんのコメント...

mmerianさん
私も、こんなに乱暴に扱って壊れないのかと、不思議に思いましたが、ウニの殻がしっかりしています。普通、竹串を突っ込んで、首をつけたりしたら、まわすときウニが粉々になってしまいますよね。
私思うに、ウニは二段重ねてありますが、重ねて見えないところに穴を開けて、小麦粉を煮たものとか、何かを中に回し入れて接着剤にして、補強してあるのだと思います。そうでないと、当時も持って帰れません。
右から石廊崎と書いてあることですが、戦後は左からで、お年寄りが慣れてなくてつい右から書いたものとしても、戦後すぐか、そう新しいものではないと思います。「伊豆の踊子」がいた時代ですから、みんな健脚で、下田から石廊崎には灯台を見に行ったのかもしれません。そう考えると、面白いですね。
ソテツの豚は、しばらく前にも見ましたが、確か値段を訊いたら、「一匹500円」、即座に立ち去りました(笑)。