2015年8月26日水曜日

ガラスの浮き

スキャンの美術館のミュージアムショップには、本やお土産ものが並んでいましたが、私は籠に七、八個入れられた、ガラス浮きに釘づけになりました。
日本のガラス浮きは、まったく着色をしていないのか、ガラス本来の色である、薄緑色のものがほとんどです。
でも、籠の中には、どれもみな、直径13センチ前後と、同じような大きさでしたが、無色透明のもの、こげ茶色のもの、網のかかっているものなど、いろいろありました。
最初、網が残っているのが欲しいと思い、網のかかっているものの中から一番好きなのを選び出しましたが、残念ながら、ガラスの吹き口の「ヘソ」が取れて、穴が開いていました。

 
ではと、これ(直径12.5センチ)を選びました。
へそに、刻印があったのはこれだけ、それが決め手でした。
 

スキャンの町の、港近くに、ガラス工房があったので、入ってみました。

 
男女二人で、コップなどをつくっていました。


ガラス玉もあるはずと店内をさがしてみたら、ありました。
ここで、漁業に使うガラス浮きをつくっていたに違いないと思ったのですが、聞いてみると、ここではつくっていなかったとか、もう一つガラス工房があると聞いて、さがしたのですが、残念ながら見つかりませんでした。


さて、買った浮きをイエンスに見せたら、
「模様がクローバーじゃないか。ってことはアイルランドから流れて来たんじゃないか?」
と言います。クローバー模様と言えばアイルランドを思い出すのだそうです
「アイルランドから、ここまで流れてくるかなぁ?」
「来るさ」


地図を見たら、イングランドをぐるっと回らなくてはなりませんが、そう遠くありません。


ガラス浮きは部分的にこすれています。
水に浮かしてみると、こすれている部分が下になるというわけではないので、途中まで網が残っていたのかもしれません。
 

へそを内側から見たところです。


一つだけ見ていると、よくある色に見えますが、日本の浮きと比べてみると、こんなに色が違います。
まあ、これは小さい浮きでガラスも薄いからと、


私の持っている一番大きいガラス浮きとも比べて見ましたが、やはり色が違います。
この大きな浮き(直径20センチ)は、学生時代に伊豆半島下田で、びくやつり竿など売っていた漁の道具専門店で買ったものです。
買った当時は、油臭い太い紐で細かく編んだ網がかかっていて、ガラスがよく見えないほど、ガラスが楽しめなかったので、いつだったか解いて、網は捨ててしまいました。

デンマークのガラスの浮き、今となっては、もう一つくらい買っておけばよかったと思いますが、そうもいきませんでした。
デンマークの物価は日本の二倍くらいの感じなので、一つ買ったのでさえ、思い切って買った感じでした。でも、買ってよかったと思っています。

これは、もしかしたらもう一つのブログ、『八郷の日々』の方に書くのがふさわしいかと思いましたが、漂着物ということで、こちらにしました。






2015年8月25日火曜日

デンマークの石(五)ノルウェーからやってきた

「鳥のいる湿地が見えるから、ちょっとここいらで休もうか」
デンマークの道路には、短い間隔で、わきに駐車できるスペースが設けてあります。そして、テーブルの絵を描いた標識が立っていれば、その先の脇道に、テーブルとベンチを置いた森があり、休んだり、お弁当を広げて食べたりすることができます。

鳥を見るために車を止めたところの、道の右側は海、左は真水の湿地でした。
左もかつては海でしたが、第二次世界大戦後に食糧が不足し、まず自力で領土を広げて食糧を増産しようと、海水を堰き止め、耕作地を広げたのだそうです。
現在では大きな湿地が広がり、ラムサール条約湿地となっていて、たくさんの渡り鳥、水鳥などが棲息しています。


私の関心は、もっぱら海の石。
ちょっとの時間でも、せっせと石を拾います。


このころになると、呪縛(?)から解放されて、やっと自分の好きな丸い石中心に拾えるようになりました。


次の日はデンマークの最北端に行きました。
西から寄せる波と、東から寄せる波が、海の中でぶつかりあっています。


次の次の日の朝、これは、半島の最北端に近い西海岸、外海です。外海と言っても、北にはノルウェー、東にはスウェーデンがあって、海峡になっています。
この日だけは、デンマークらしくちょっと雲の垂れこめた朝でした。


砂浜と段差部分の境目あたりから、湧き水が海へと流れ込んでいます。
砂から顔を出している黒い部分はいったい何でしょう?イエンスがしきりと気にしています。


打ち上げられたものの中に目立つのは鳥の羽です。
近くに広がる荒れ地(ヒース、ムーア)も、湿地も、鳥、特に渡り鳥たちが生息するところです。たくさんの鳥が行ったり来たりしていますから、渡るのに失敗して海に落ちる渡り鳥も、多いのかもしれません。


海ほおずき。


外海は、フィヨルドに比べて、打ち上げられた海藻も少しだけです。


誰かのつくった砂の塔と、打ち上げられた扁平な小石の列。


小石をちりばめた、砂のお城。
 

カニの甲羅。


長い貝。
この貝殻は、フィヨルドにもありました。


黒い、穴だらけの貝殻。


割れてしまったけれど、色が違うけれど、これと同じでしょうか。


ウグイスガイの仲間と、ハマグリの仲間。


青い貝。


拾わなかったけれど、もっと大きな貝もありました。


拾った貝のうち、薄い貝は帰国してみたらほとんど割れていました。


「これはノルウェーの石。デンマークにはない石だ」
そう言って、イエンスがくれた石です。
「えっ、そうなんだ」
海岸からノルウェーは見えません。

 
ノルウェーからはるばる転がされてきた石、不思議です。


この丸さが、何とも言えません。


私が、砂浜で拾った、小さな石たちです。
多くは、寄せては返す波にもまれて、扁平になっています。


中でも気に入ったのがこの石。
この先の赤いのは、いったい何でしょう?





2015年8月24日月曜日

デンマークの石(四)海へ

いざ、海へ。

デンマークの北の方へと三泊四日の旅行に出た二日目、ウニの化石の拾えそうな海岸を目指します。
「どこだったか、どこも似ているから、よく覚えていないなぁ」
とイエンス。
なにせ、彼らはもう何年も、何十年も化石を拾いに行っていないのです。

その前日、フェリーボートでコペンハーゲンのある島から半島に渡っていました。半島の中の複雑に入り組んだフィヨルドを目指して北上していきます。


一つ、イエンスがあたりをつけた浜に行ってみたら、散歩している女性がいました。


その女性にたずねると、ウニの化石を拾うならここより別の浜と、親切に教えてくれました。


その浜です。
なんて似ているのでしょう!その前に行った浜辺と、感じがそっくりです。
ただ、最初の浜が平坦な地の先にあったのに比べて、二番目の浜は高いところから、歩いて降りて浜に到達しました。


最初の浜より石の粒は、ちょっと大きいようでした。


砂浜は波打ち際に細い線になっているだけ、あとは石の浜です。
貝殻はほとんど打ちあがっていません。藻だけです。
「石だけじゃなく、琥珀も拾えるのよ。琥珀は海藻ラインを見てね」
と、アンが言っていたので、石だけじゃなく、琥珀にも目配りします。


私は、丸い石が好きです。
たいてい、丸い石にしか目が行かないのに、このときは物珍しさもあって、自分の好みではない、丸くない石をたくさん拾ってしまいました。


でも、指の形をしたこれなんか好き。
 

左の二つは桂化木かと思ったりするけれど、ただの石なのでしょうね。
右の石は、指大の石が抜けたように穴が開いています。


年輪が見える気もしますが、ただの石の気もします。


こんな石も物珍しさで拾いました。


これは素敵な石たちです。
右のは、まるで白餡を入れた、食べかけのお饅頭のようです。
 

丸く穿たれた石と、指輪状に穴が開いた石。


石なのに、どうしてこんな形をしているのでしょう?


キャラメルみたいな石を拾って、アンに、
「琥珀ってこんな色?」
って見せたら、
「それ、ただの石よ。琥珀って軽いの。藻の上に乗っていたりするんだから」
と、にべもなく否定されました。


軽いのを見つけました。
「これは琥珀?」
「そうじゃないわよ。これは○○よ」
ああ、その時、アンが何と言ったか、忘れてしまいました。
これっていったい何?

コペンハーゲンに帰ってから、アンが拾ったという巨大な琥珀を見せてもらいました。長径が4センチ以上あるやつです。
でも、これは負け惜しみじゃなく、羨ましくなかった。普通の石の方が好きです。


この白いポチポチの並んだこの石は、ウミユリの化石の可能性があります。


また、これは「鳴る石」に近いもののようです。

 
旅の一日目に留まった宿の部屋の暖炉の上には、石が置いてありました。


そこにあった、右上の傘のような石、それも化石とのことでしたが、それにそっくりです。
結局、ウニの化石を見つけることができませんでしたが、私は大満足でした。


自分の好きな、丸い石やレンガも、しっかり拾いました。


夫が貝を拾っていました。


イエンスが、
「S(夫のこと)が緑色の石を拾ったというから見たら、なんだと思う?ただのガラスだよ」
と大笑いしましたが、私は、たった一つの、ごつごつしたビーチグラスに大喜びしました。デンマークの海にはゴミもないけれど、ビーチグラスもありません。
左は、ハート形の石のつもりです。ちょっと欠けているかな?