2010年5月31日月曜日
コウヤマキの実
私の住んでいる八郷には、古い民家がたくさん残っています。中でも、私たち夫婦の一番のお気に入りは、Wさんの家です。
Wさんは、旧家の誇りと、並々ならぬ愛情を持って、農業の傍ら、茅葺屋根や庭の手入れをしていますが、そんなWさんの気持ちが伝わってくるような家なのです。
我が家にお客さんがあり、どこかへ行ってみようかということになったとき、足が向かうのはたいていWさんの家です。何の連絡もしないで行きますが、会えば、Wさんは必ず木戸を開けて、手入れの行き届いた庭に招じ入れ、障子を開けて、お座敷まで見せてくださいます。
Wさんの家は、江戸時代まで、足の病の平癒を願って、足尾山に登る、足尾山信仰の人のための旅籠をやっていました。明治に入って、旅籠は閉じたのですが、外観を損なわない程度に改築しながら、現在も住み続けていらっしゃいます。
庭には、小川から水を引いてつくった池があり、植えてあるコウヤマキ(高野槙)やヤマモモは、樹齢を悠に100年は越えて、巨木になっています。
そのコウヤマキの木の下に、落ちていたのが、こんな実です。
Wさんの家のコウヤマキの美しさに魅せられて、我が家にも、コウヤマキを植えたのは、5年ほど前のことです。しかし、他の木に比べると成長が遅く、まだひょろひょろで、高さは2メートルほどしかありません。
登山口の旅籠
2010年5月29日土曜日
棕櫚の葉のばった
指ハブつくりに味をしめて、ばったをつくってみました。
材料は、そこいらの雑木林の中に生えている棕櫚の葉です。
クヌギやコナラの雑木林の足元に、ムラサキシキブ、ガマズミなどが生えているのは好きですが、棕櫚やアオキは嫌いです。我が家に近いところに生えると、私がいつも目の敵にして切り倒すのですが、棕櫚は懲りずにどこにでも生えてきます。
ばったは、見た目よりずっと簡単にできました。これなら、子どもたちでも楽しめただろうなあと思いました。
『作ろう草玩具』(佐藤邦昭著、築地書館)によると、長野県ではスス キの葉、関東以南では棕櫚の葉、沖縄ではヤシの葉でつくっていたとのことですが、日本で、一度も葉っぱのばったにお目にかかったことはありません。
タイと、カンボジアで見ました。
これは、カンボジアで、お祭りのときに買ったばったです。行商のおじさんが、わらつとのようなものに、いっぱい、ばったを串刺しにして、売り歩いていました。
パルメラヤシの葉でつくって、彩色したものですが、私のつくったばったとは、羽がついているところが違います。右に伸びているのは、串で、これに糸でぶらさげてあります。
カンボジアから引き上げるとき、ほとんどのものは持って帰りましたが、このばったは壊れ易いし、かさばって荷造りには不向きだったので、残念ながら持って帰れませんでした。
こちらは、昨日つくったばった。
机の上において出かけた隙に、猫のトラが散々遊んだようで、残骸になって転がっていました。トラには本当のばったに見えたのでしょうか?
葉っぱの小物入れ
2010年5月28日金曜日
2010年5月27日木曜日
指ハブ
ヤシ砂糖を包んであったパルメラヤシの葉を、捨てられないでしました。
いつまでもとっておくわけにいかないし、何の役にも立たないし、でも、当分手に入るものでもないし、なんてぐずぐずしていましたが、「そうだ、これを使ってなにかつくればいい」と思いつきました。
つくるなら、沖縄の指ハブです。一匹持っていて、ここに越して来てからも見かけたのですが、荷物を全部解いて飾り棚に移した今、姿が見えません。
小さいものや軽いものは、注意深く作業しているつもりで、段ボール箱から出すときに、包装紙に混じって、行方不明になってしまうことがあります。
砂糖の包装用に切ってある葉ですから、十分な長さがありません。指ハブがつくれるかどうか。とりあえず、ヤシの葉は水に浸しておいて、リボンをつくる簡単な道具をつくりました。
木片の一方に他の木片を固定し、欲しい幅のところに鋸で切り込みをいれ、そこに包丁をさして使います。
カンボジアのお母さんたちが、ヤシの葉でござを編むときに、こんな道具を使っていたなあと、思い出しながらつくってみたのですが、彼女たちのように、すいすいとは切れません。左手で葉を押さえ、右手で引っ張るのですが、包丁も押さえていなくてはならず、鋏で切る方が早かったかもしれません。
リボンを4本使って、2本ずつ、六角形に編んだものをあわせます。それをクリップでとめておいて、
両端を寄せてきて、立体にして、ある程度の長さになるまで編み進めます。といっても、短い材料を使っているので、あっというまに編み進めなくなり、あわててしっぽをつくりました。しっぽは葉を細かく割いて縄に編むのですが、短すぎるので縄にはできず、葉の紐でまとめました。
というわけで、蛇というよりは、魚のようなものができてしまいました。
ヤシの葉が少々残っていましたが、短かいものしかなかったので、それでボールを編みました。下の色が濃い方が、できたてのほやほや、まだ湿っています。
それでも、指ハブは、ちゃんと噛みついてくれました。
ヤシの葉のドリアン
2010年5月26日水曜日
モミジイチゴ
早春、まだ寒いうちに花をつけたモミジイチゴが、固くて小さな実だとばかり思っていたら、すっかり大きくなっておいしそうに熟れてきました。
こうなったら、蟻と競争です。早く採らないと、蟻が中に入り込んでしまいます。
モミジイチゴの実は、全部下を向いていて、葉に隠れているので、とげのある木を起こして摘みます。
どんなに夢中になって摘んでいても、ヤマウルシの木が近くにあるかどうかのチェックだけは怠りません。ここに越してきて10年、ヤマウルシマップはしっかりと頭に入っています。
小さい頃、何度か、ヤマウルシの木でかぶれました。長じてからも、箱に漆を塗ってかぶれ、それではとカシューを塗ってかぶれ、熟れたマンゴーのてっぺんに穴を開けて、チューチュー吸ってかぶれました。ウルシ科の植物とは、距離を置いています。
もっとも、マンゴーは大好き、カシューの熟れた実を食べるのも大好きです。たくさんは食べられませんが。
2010年5月25日火曜日
勾玉石
昨日は、一日中雨が降り続いていました。
雨があがった今朝、田植えが終わったばかりの農道を散歩してみると、道は顔を洗ったような、さっぱりした表情を見せていました。
30年前につくられた農道は、アスファルトが劣化して、一度は道として固められた小石が、再び道から分離して、道端に吹き寄せられています。
ところで、先日、友人から、「昭和30年代の初めに、舗装された公道はどのくらいあったと思う?」と聞かれました。「30%くらいかしら」と答えたのですが、とんでもない、わずか2.5%だったそうです。そういえば、どこも道路工事、道路工事でした。日本は、この50年で、ものすごく変化したのですね。
今日は、勾玉のように曲がった石を拾いました。一つならず、二つも。
でも、散歩は早々に終わらせて、田植えをしました。あと一息、95%の田植えが終わりました。
雪に降られ、放れ犬に踏まれ、スズメについばまれた苗箱の苗はやはり十分ではなくて、なくなってしまいました。残念。
明日は、たけさんから譲っていただいた、ライスセンターで育てた苗を植えます。ゾウムシがつかないように農薬を散布した苗ですが、しかたないですね。
2010年5月24日月曜日
かつおのたたき
昨日つくった、かつおのたたきです。
かつおに、にんにくのみじん切りとショウガのすりおろしを乗せます。にんにくは、昨年我が家で採れたものを、冷凍保存してあります。
高知出身の友人に、以前教えていただいたレシピは、その上に、葉ネギ(万能ネギ)を小口切りしたものと、シソの葉を千切りにしたものを、かつおが隠れるほど乗せるものでした。
しかし、田舎に暮らしていると、いつでもシソの葉が手に入るというわけにはいきません。青ジソは、毎年こぼれ種から勝手に生えてきますが、今年はまだ、芽 が出たばかりです。というわけで私は、その時々、手に入るハーブを乗せています。
昨日は、他人さまの田んぼの畦で摘んだミント、裏山で摘んだ三つ葉、そして、数年ぶりに草刈りをしたらよみがえったミョウガ(ちよさんの畑のものですが)の茎を小口切りして、たっぷりのせました。
いろいろなハーブを混ぜると、味がくどくならないかと心配です。しかし、ヴェトナムのゴイクン(生春巻き)やバンセオ(お好み焼き)は、一緒に食べるハーブの種類が多いほどおいしくなります。そう考えて、いろいろ混ぜてみましたら、悪くありません。
今だったら、ウドの葉、コリアンダー、山椒などもありますが、昨日は、ミントと三つ葉でかつおが隠れてしまったので、使いませんでした。
これからの時期は、シソやミョウガが楽しめます。早春はセリもいいし、本当に何もない冬には、タマネギの薄切りや春菊も使えます。
もう一度冷蔵庫で冷やしておいて、食べる直前にポン酢をかけて、食卓に運びます。
2010年5月23日日曜日
にせ(?)ニセアカシア
ニセアカシア花(Robinia pseudoacacia)のてんぷらは、ほのかに甘くておいしいのですが、花の咲くのはほんの数日だけ、いつでも楽しめるというわけにはいきません。
客人があったので、昨夏、葉だけを見て、「あらこんな近くにニセアカシアがある」と、めぼしをつけておいたところに行ってみました。道が山に入ろうとする、最後の畑のわきです。歩いていくと、遠めに、白ではなく、黄色い花が見えました。
「あれっ」。近づいてみると、ニセアカシアよりずっと大きい花が、垂れ下がらないで、上を向いて咲いています。
木を見ると、ニセアカシアのように鋭くはなさそうですが、トゲもあります。
いったい、なんの木でしょう?
豪華な花ですが、知らない花を食べるわけにはいきません。
仕方なく、車でちょっと遠くに行って、ニセアカシアの花を摘んできました。何本か木をマークしていますが、一番遅く花が咲く木も、今日がぎりぎりといったところでしょうか。
本日のてんぷら材料は、ウドの葉、ヨモギなどでした。
2010年5月22日土曜日
シロヤマブキ
春、我が家のまわりで次々と咲く木の花は、白いものが多い気がします。ミズキ、ヤブデマリ、ガマズミ、ユキヤナギ、ズミ、ゴンズイ、木苺類などなど。
我が家の庭にも、白い花の咲く木があります。コブシに続いて、ドウダンが咲き、シロヤマブキ(Rhodotypos scandens)も咲きました。シロヤマブキは、かなり長い間咲いていましたが、そろそろおしまいのようです。
シロヤマブキは、ヤマブキ(Kerria japonica)の仲間ではありません。ヤマブキは、シロバナヤマブキも含めて、花弁が5枚ですが、シロヤマブキは4弁の花です。咲きはじめは、花弁がお互いに重なりあっていますが、だんだん離れていきます。
また、ヤマブキは、「蓑(実の)ひとつだに、なきぞ悲しき」と詠まれたように、実がなりませんが、
シロヤマブキには、花弁の数だけ実がなります。今年も、お行儀よく並んで、実が生りはじめています。
早春、花が咲きはじめたころにはまだ、昨年つけた実が、いっぱい木に残ったままでした。
しかし、今ごろまで残っている実はわずかです。しかも、4つ丸々残っている実は見つからず、3つに減ったり、2つになったりしていました。
シロヤマブキの実は、真っ黒で硬く、光沢もあり、まるでビーズのようです。
シロヤマブキの木の下には、まだ双葉をつけた若い木が、元気よく顔を出しています。
2010年5月20日木曜日
ホオ葉巻き
小雨の中、ホオの葉を摘んできました。昨日より、ちょっとだけ緑が濃くなっている感じです。
Shigeさんのブログで紹介されていた、ホオ葉巻きをつくります。
米の粉は、水を入れて練り、適当に握って、蒸し器に入れます。
途中で、もう少し小分けにしたりして、蒸すこと、約20分。蒸しあがりました。
搗くのは、すり鉢とすりこ木ではなくて、餅搗き機に任せます。
最初はばらばらしていましたが、へらで集めてやると、だんだん一つにまとまってきます。
十分に搗いたお団子をちぎって丸めて、餡を包み、それをホオの葉で包みます。
そして、蒸し器に並べて、蒸すこと5分ほど。
おいしいホオ葉巻きが完成しました。
生まれて初めて食べました。なにに例えたらいいか、うまい形容詞が見つかりませんが、ほのかですが、とってもいい風味と、香りです。
時間がたってから食べようとすると、葉がまだ若かったのか、お団子にくっついてしまっていました。そこで、ホオの葉ごと食べてみました。
私は桜餅はいつも包んである葉ごと食べますが、ホオ葉は、桜の葉の塩漬けより柔らかくて気にならず、とってもおいしくいただきました。
2010年5月19日水曜日
春たけなわの庭
2010年5月18日火曜日
マナーオ
タイのマナーオ(Citrus aurantifolia、カンボジア語ではクロー・チュマー、ライム)は、料理の香りづけというより、酸味をつけるための調味料そのものです。タイヤカンボジアでは料理に発酵・醸造酢を使うことはなく、サラダにもスープにもマナーオを多用します。
酸味づけの先輩格には、タマリンド(Tamarindus indica)があります。タマリンドは莢の中の果肉を集めて使いますが、見たところ、ちょっと固めのお味噌といった感じで、市場で売られています。
ペースト状のタマリンドは保存もきき、田舎にも浸透していますが、今、酸味の横綱はといえば、やはりマナーオではないかと思います。
フィリピンにはカラマンシーがあり、沖縄にはシークワーサーがあります。こちらも、伝統的には発酵・醸造酢の役割を担っていたのでしょうか?
タイの、酸っぱいものとして、異色なのは赤蟻です。赤蟻は木の枝にぶら下がるようにして、葉を丸めて巣をつくりますが、それを巣ごと捕ってきて、スープに仕立てます。スープは酸味が利いてとてもおいしいのですが、なにせ赤蟻は攻撃的で、刺されると飛び上がるほど痛いのです。そんな赤蟻を巣ごと捕って来る人の勇気に感心してしまいます。
そのマナーオ、皮が薄くて、果肉はレモンの果肉のようにしっかり固いのですが、何かの拍子に腐らないで乾燥してしまいました。子袋がなぜかはっきりと浮き上がって見えています。
写真で見るとへんてこな色ですが、かびてはいません。すっかり軽くなって、ピンポン玉ほどの軽さです。しっかり詰まっていた果汁はどこへ行ってしまったのでしょうか。
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