2010年2月5日金曜日

植物園 その3



植物園には、ランは季節はずれであまり咲いていませんでしたが、カラーは花盛りでした。友人夫婦は大喜びで、いろいろな色のカラーを見てまわります。




「まるでプラスティックでつくったみたい」、と言えば、誉め言葉にはならないのでしょうか。




カラーの部屋(日本だと温室ですが、こちらは日陰室)の片隅に、ヤシの実の外果皮がとれて、中果皮の繊維になったものが落ちていました。中には、けなげに小さな芽を出しているものもあります。




建物の外に出てみますと、ヤシが列状に植えてあり、赤い、ゴルフボールほどの実がたわわになっていました。




足元には、今日落ちたのか赤い実、そして、ずっと前に落ちたのか、中果皮だけになった実など、敷き詰めたように落ちていました。




植物園は閑散として、聞く人もいなかったので、帰ってから調べてみました。しかし、私の手持ちの本の中には、見つかりませんでした。もしかしたらこのヤシは、地域の人々が古くから慣れ親しんできたヤシだけでなく、観賞用として渡ってきた、別の国原産のヤシなのかもしれません。

試しにネットで、「ヤシ 赤い実」と入れて検索してみましたら、似たヤシの写真が出てきました。「やったぁ」と思ったのですが、「マニラヤシ」とあるだけで、学名が書いてなかったので、けっきょくのところ、なんだかわかりませんでした。



2010年2月4日木曜日

植物園 その2



ここが、植物園であるとの表示もない植物園です。お客はもちろん、従業員の影すらない植物園の、広い駐車場(写真左手)で、おもしろい葉っぱを見つけました。

植物の、ほとんどの葉は、葉柄を中心にして、左右対称形です。もちろん、厳密に言えば、どれも対象に見えても違うものではありますが、二つに折ると、だいたい重なります。




これはインドボダイジュ(Ficus religiosa L.)の葉ですが、こんな感じです。




ところがこの葉っぱ、ユニークです。ユーカリのように、葉柄そのものが曲がっているし、葉柄の左右の、形も、面積も、まったく違います。
なんの木かは不明です。




私が愛用している植物図鑑、『FOREST TREES OF NORTHERN THAILAND』には、あたりまえですが、南部海岸地方の木はほとんど載っていません。雨季と乾季のはっきりわかれた内陸の林と、より湿潤な海辺の林では、植生はずいぶん異なっているのです。




この本は、絵や写真が多くて、見ているだけで楽しくなるものです。




熱帯の植物のことなら、3,000種類も載っている、『熱帯植物要覧』は、とても役立ちます。




ただし、写真は一葉も載っていませんので、ある程度植物の知識がなくては、使えないのですが。

2010年2月3日水曜日

植物園 その1



クラビの友人宅に滞在していたとき、一日だけ遠出して、植物園に行きました。植物園というより、試験場のようなところでしょうか。場所を表す看板もなければ、客もいませんでした。
友人はランを見せたかったらしいのですが、季節はずれで、ランはあまり咲いていませんでした。そのため、友人はがっかりしていましたが、私はさしてランには関心がないので、ちっともがっかりしていませんでした。

ランの小屋で、ふと足元を見ると、半分にたたまれた、大きな大きなバウヒニアの葉が敷き詰めるように落ちていました。ランに日陰をつくるために植えられたもののようでした。
これまで、私の拾ったバウヒニアの葉で、もっとも大きいものは長さ11センチ、幅12センチです。でも、これより小さな葉の方が多くて、長さが4センチしかないものもあります。ところが、今回ひろった葉は、長さ、幅ともに21センチという巨大なものでした。半分に折れたまま乾燥して、広げることができなかったので拾わなかった葉の中には、もっと大きいものもありました。

左側の葉は、




ムラサキソシンカ(Bauhinia purpurea Linn.)という、和名もついている、よく生垣などとして使われるバウヒニアです。
比べてみると、植物園の葉っぱの巨大さがわかります。残念ながら、どの植物図鑑をひっくり返しても、そんな大きな葉っぱのバウヒニアは載っていませんでした。




葉表はまるで皮のよう、そして葉裏がバックスキンのような感触のものもありました。海老茶色も素敵です。




誰も来ない植物園で、半分にたたまれたまま、朽ち果てようとしていたバウヒニアの葉は、私に拾われて、無理やり葉を広げて乾かされ、旅をして、日本までやってきました。

2010年2月2日火曜日

クラビの石 拾ってこなかったもの



写真を撮っただけで、拾ってこなかった石です。

赤い石なんて、考えてみると、そうめったにお目にかかるものではないですよね。
拾ってこようかどうしようか、迷いました。でも、一度拾ってきたら、石は意味を持つようになります。もう、絶対、そこいらに捨てられるものではありません。それを考えたら、やっぱり無闇には拾えません。石は種のように、壊れたりもしないし、ずっと我が家にあり続けるのです。

こうして写真で見ると、一番赤い石が、とくにすごいですね。まるで、ペンキを塗ったようです。一目見たときから、そうでした。

もうちょっと、形がまん丸だったら、私はたぶん拾ってきました。まん丸な石には、なんだかんだ言っても、めっぽう弱いのです。


2010年2月1日月曜日

クラビの石



今回のクラビの旅、砂浜の砂はたくさん見ましたが、川には行かなかったので、自然に転がっている石は全然見ませんでした。しかし、誰かが庭などに転がしている(敷いている)石は、もちろん見ました。

左の石は、コーヒーショップの庭に敷いてあった石。いっぱい敷いてあったけれど、遠慮して、2つだけいただいてきました。

真ん中の穴の開いた石は、友人宅の近くで拾いました。こういう穴の開いた石、ときどき見かけますが、どうしてこうなるのか、勉強不足で、まったくわかりません。

そして、右は友人宅の入り口あたりに敷いてあった石です。落ちているとただの石でも、拾うと意味を持ってくるので、捨てることができなくなります。というわけで、最初はもっとたくさん拾っていましたが、厳選して、二つだけいただき、あとは元に戻しておきました。




これが友人宅、真ん中のあたり、階段の手前に、ちらほらと石が敷いてあります。




そして、これはやはりこの別荘群の一角にある、アイルランド人の方の家の、樋の下から、いただいてきたもの。お家を見せていただいたとき、目につきました。
せっかくご自慢の家を見せてくださっているのに、石に興味を示すなんて、さぞかしがっかりするだろうと思って、黙っていただいてきました。
アイルランドの成功したチョコレート王だということですから、石がひとつなくなっても、気になさらないことでしょう。チョコレートは友人宅でいただきましたが、おいしかったです。


2010年1月31日日曜日

マングローブの種


今回訪ねたクラビの友人の家は、アンダマン海の、夕日を望む西海岸に面していました。地形としては細い、小さな半島が南に張り出している突端のあたりで、十年ほど前は森だったところ、今はホテル街になっている場所を抜けて、東海岸にも歩いていけます。 しかし北と南には高い石灰岩の岩山がそそり立っているので、東西には歩いて抜けられるものの、その地域自体は孤立していて、ボートでないと行けません。広い道路もないし、もちろん車も一台もありません。 西海岸は美しい砂浜ですが、東海岸は泳ぐには適してない遠浅の泥浜で、マングローブが生えています。海洋生物には、とても過ごしやすい場所だったことがうかがえます。


しかし、急速な観光化で、宿泊施設やレストランの下水が海に向かって流れ込み、増え続けるゴミで浜は汚れ、マングローブもどんどん元気を失い、少なくなっている感じでした。


 泥浜にはホウガンヒルギ(Xylocarpus granatum)の種や、


ベニマヤブシキ(Sonneratia caseolaris L.)の実なども落ちていますが(手振れ写真で失礼)、


  波頭線にはごみがたまり、ウルトラマンの姿も見えました。


これは東南アジアのマングローブ林域では、主要構成種であるフタバナヒルギ(Rhizophra apiculata Bl.)です。担根体の先端部分がもっとも太く、落下して泥にうまく突き刺さる構造になっています。 いいかげんにかばんに詰めて持ってきたら、残念ながら果実の苞の先が4個あるうち、3個まで折れていました。 担根体はフタバナヒルギの生えている周辺で拾いましたが、果実は西海岸の砂浜で拾いました。


ホウガンヒルギは砲丸のような丸い実をつけ、熟すと果実の外皮が割れて、ジグソーパズルのように詰まっていた、不定形な種子がこぼれ落ちます。 泥の浜だけでなく、西海岸の砂浜でも、道路の通じている船着場の砂浜でも、たくさん見かけましたが、虫に食われているものがほとんどでした。おいしいのでしょうか。 これは、西海岸で拾ったものです。




2010年1月28日木曜日

レンガのかけら



タイ南部の友人の家で、「浜辺でなにを拾ったんだい?」と言われ、これを見せたら、「なんだ、これはレンガのかけらだよ」、と言われてしまいました。わかっています。

以前、カンボジアのコンポン・ソムでは、素焼きの漁具の一種を拾ったので、クラビの浜でも期待していたのですが、全然見つかりませんでした。
そして、代わりに拾ったのがこのレンガです。でも、私はレンガのかけら、けっこう気に入っています。
かわいいじゃないですか。
波にもまれたものって、ほんとうに素敵です。




朝、浜辺を歩くと、小さなカニがせっせと働いて、いろいろな模様を砂の上につくっていました。




朝日があたると、いっそう鮮やかでした。もっとも、ジョギングする人や散歩する人がきて、観光客もきて、さらに潮が満ちて、模様はすぐに消えてしまう運命にあるのですが。