2014年12月16日火曜日

「北の小箱」最終回


チョウセンゴヨウの松ぼっくりです。
どこもかしこにも白いやにがついていて、砂糖をかけたように固まっています。松ぼっくりがまだ緑のころは、さぞかしべたべたしていたことでしょう。


まだ、残っている種もあります。この固い殻の中に、あのおいしい松の実が入っているのです。
以前、朝鮮半島を縦断したとき、車窓から見える山の松は、植林したアカマツのようにしか見えませんでした。
チョウセンゴヨウは、温暖な海岸沿いには植えていないのでしょう。

今、市販の松の実は、韓国産はほんの少々で、ほとんど中国産です。
小さな種子の硬い殻をひとつひとつ割り、さらにまとわりついてむきにくい薄皮を剥ぎ取らなくてはならないので、松の実を商品にするには、たいへんな時間と手間がかかっています。
もっとずっと大きいギンナンでさえ、固い殻をむいて、薄皮もきれいにむいて売るとなると、
「やっていられないわ」
という気分になることでしょう。
松の実が高価なのもうなずけます。


のらさんが、固い殻の一部を切り落としたものを同封してくれました。
唇にあてて吹くと、ぴゅーっと甲高い、林を通り抜ける風のような音がします。

久しぶりに松の実が食べたくなりました。
昔、韓国の人に教えてもらったおこわは、松の実、クルミ、刻んだ干し柿、栗などが入っていました。それに日本風に小豆も加えて蒸すと、ちょっと甘い、それはそれはおいしいおこわができます。


のらさんのキャプションには、これはオオバボダイジュの実だけれど、もしかしたらシナノキの実かもしれないと書いてありました。


左は、以前熱海のMさんにいただいたオオバボダイジュの実です。
左はほとんど球形ですが、のらさんが送ってくださった真ん中のは、 とんがっています。


シナノキの実ではないでしょうか。
実をつけている総苞葉もボダイジュの方が心なしか厚くて反り返っています。

一番右は、私がどこかで拾った、シナノキかボダイジュの実です。落ちて日数が経っていたのか、実がほとんどついていませんでしたが、実の大きさはどれも同じようでしたから、小さいけれど未熟な実ではないようです。
似ている実で、ちょっとずつ違っています。


ボダイジュの実は、これまでシャーレに入れていましたが、総苞葉が場所を取るので、これ以上は無理して入れられません。
そうっと入れておいたのに、Mさんにいただいた実も一つ折れていて、写真を撮ろうとしたら、離れてしまいました。


というわけで、のらさんからの「北の小箱」は、まとめて東ティモールの籠に入れました。


同封されていた、沖縄諸島のサンゴの砂は、小さなガラスビンを見つけて入れるつもりです。
100円ショップにちょうどいい大きさのビンがあるかな?それとも、今度の骨董市で、ちょうどいいのが見つかるでしょうか?
のらさん、ありがとうございました。大いに楽しませていただきました。




2014年12月15日月曜日

「北の小箱」の中のウニと貝


「北の小箱」に入っていた、ハスノハカシパンです。
ハスノハカシパン(Scapbecbinus mirabile)はウニの仲間で、薄いのが特徴です。
どうしてハスノハカシパンと呼ぶのかと言えば、


裏から見たら、蓮の葉そっくりだからだそうです。


まるで、蓮畑のよう。


こんなに薄いのですから、浜辺には割れたものの方が多いのでしょう。
後ろのウニたちは、以前mmerianさんにいただいたものです。右がムラサキウニ、左がタコノマクラです。

のらさんにいただいたハスノハカシパンのうち、一番大きいものは、直径6センチです。



チョウチョガイ。
素敵に美しい貝ですが、これはオオバンヒザラガイという、どちらかと言えば気持ちの悪い形の貝の、中間板(殻)がばらばらになったもので、8個中間板があるうち、7個が蝶の形をしているそうです。

チョウチョガイは北海道でしか拾えないものかとネットで画像検索していたら、北海道日高東部の貝コレクションを見ている写真の中に、見慣れたShigeさんの顔を見つけました。
もしかしたら、この中にのらさんもいらっしゃるのでしょうか?






2014年12月14日日曜日

「北の小箱」その四、地球のかけら


「北の小箱」に入っていた、黒曜石です。
見たところ、何の変哲もない丸石のようですが、黒曜石はどこにでもあるというものでなく、特定の場所でしか採れないものだそうです。
黒曜石は火成岩で、火山活動で流紋岩質マグマが高温高圧の状態から地上に 噴出したり、地表近くに貫入し急冷したときにできると言われています。ところがどの火山でもできるものでなく、酸性の火山岩(流紋岩)に伴ってできる火山ガラスなので、日本では産地が北海道と、本州中部、九州地方だけに集中しています。

これは、のらさんが十勝川河口近くの浦幌町昆布刈石(素敵な地名!)の海岸で拾われたもので、別名十勝石とも言います。 

黒曜石は古代から、石器の材料として珍重されてきました。均質で貝殻状断口を示す石材であることから、細かい整形を必要とする両面を加工した石鏃など、あるいは鋭い刃が欲しいナイフなどの裁断石器をつくるとき、威力を発揮しました。
原産地が限られているのに、黒曜石製の石器類が出土する遺跡の分布は、それらの範囲を越えています。
どうやって伝播したのか。
なにせ古代のことなので、断定はできませんが、黒曜石をめぐって盛んに交易が行なわれていたのだろうと推察されているようです。

「割るとガラスだとわかりますよ」
とのらさんは教えてくれていますが、とても割れません。
ガラス質がよく見える、角のある黒曜石より、丸い黒曜石の方が数倍、数百倍好きです。


もっとも、割らなくても、ところどころガラス面が見られます。


これは、漂着石炭です。
燃料が石油などに完全に取って代わられる1980年代まで、たくさんの人たちが命がけで掘っていた石炭です。
石炭は重いものという印象がありましたが、黒曜石と比べると、信じられないほど軽く感じられました。石炭は良質なものほど軽く、比重は1.2ほど、黒曜石の比重は2.3から2.5です。

のらさんの推理では、浦幌町厚内の港内でこぼれた石炭が漂着したのではないかというものです。
かつて、浦幌炭鉱で彫った石炭は港まで鉄道で運び出され、そこで船に積み替えて各地に運ばれていました。


この石炭が「北の小箱」に入っていたため、荷物はにはこんな張り紙がされていました。石炭は、痩せても枯れても燃料、発火物なのでした。

海の波に長い間(何万年?)もまれてきた地球のかけらの黒曜石も、比較的短い時間もまれた石炭も、いろいろなことを、雄弁に語りかけてやみません。




2014年12月13日土曜日

「北の小箱」その三


のらさんから届いた、「北の小箱」には、チラシを利用した手づくりの、マトリョーシカの封筒が入っていました。


中には、のらさんがマクラガイでつくった、マトリョーシカのストラップが入っていました。
ひゃぁぁ、自分でつくったんだって!


「どうしてこんなのが、つくれるの?」
ビーチコーマーの皆さんは、どなたも多才だし、それに手描きの字もきれいで、驚いてしまいます。


ちなみにマクラガイは、太平洋側では房総半島、日本海側では男鹿半島以南から、熱帯域の浅い砂泥底に生息している貝で、北海道にはいないそうです。


そして、憧れのガラス浮き。
ガラス浮きは日本各地で拾えるようですが、なんと言っても北海道でつくられたものですから、北海道はガラス浮きの地元、以前はうじゃうじゃ拾えたようですが、今はどうなのでしょう。

写真は大きくしましたが、大きい方の浮きで直径6センチくらいのかわいいものです。




2014年12月12日金曜日

北からやってきたどんぐりたち

北海道ののらさんに送っていただいた、漂着物や種や石の数々、見るたびにわくわく、どきどきしています。

小分けにして入っている袋の、のらさんの手書きの説明もおもしろくて、これらをこれから、どのように取っておこうか、あるいはどのように展示するのかしないのか、ちょっと悩んでいるところです。
よい収集家は、よく記録し、よく展示するものだと思うのですが、なかなか記録保存と展示の二つは両立しません。

 
ミズナラです。
どんぐりはありきたりだけれど、ミズナラってこんなに袴が美しいものだったのです。


でも残念ながら虫の喰いカスが.....。
どんぐりをなんとか保存したいと思いつつ、いま一つこれだという方法が見つからず、はじけたり、虫に食われたりしまうのが残念です。


アカナラ。
北米原産だそうですが、これも袴が美しいこと!まるで、帽子をかぶったどんぐり坊やのようです。
右は、未熟な実です。


カシワ。
これは、私の愛してやまないどんぐりですが、このあたりのカシワの木はなかなか実をつけません。庭に植えて刈り込んでしまっているのも、一本だけのびのびと育っているのも、くまなく調べたのですが、どれにも実がついていませんでした。

でも、いつだったか、車で走っているとき、わりと小さな木にカシワのどんぐりが生っているのを見かけたことがあったのです。
そのときはいつものように急いでいて、ちらっと見ただけで通り過ぎ、後でさがしたのですが、どうしてもどこだったか思い出せなくて、見つからなかったものです。

北海道は、今年はカシワのどんぐりは豊作だったそうです。
のらさん、ありがとう。写真を撮った後、煮るのは忍びなくてすぐにまとめて冷凍庫に入れてみました。
防虫効果があると嬉しいのですが。






2014年12月10日水曜日

北の小箱に入っていた南の豆

ブログでお友だちになった、北海道在住ののらさんから、「北の小箱」が届きました。


のらさん、これは小箱なんてものじゃないよ、「北の大箱」だよ!
一度に開けるのがもったいなくて、少しずつ見ています。


一番上に乗っていたのは、アフリカイナゴマメ(英語からの訳、和名はヒロハフサマメノキ、Parkia biglobosa)です。
これは、のらさんがガーナで暮していた人からもらわれたもので、ダワダワの材料だそうです。
ネットで検索して見ると、ダワダワとは、ガーナやナイジェリアのサバンナ地域でつくられ、使われている調味料で、アフリカイナゴマメを発酵させてつくります。


いまでは、ダワダワと検索すると、おいしそうなシチューの写真まで出てくるのですから、地球は狭くなったものです。

ガーナ北部ではダワダワと言いますが、ナイジェリアのヨルバ人の言語ではイルと言い、
「たくさんのイルはシチューの味を損ねない」
ということわざがあるそうです。
イル=ダワダワ、いくら使っても使い過ぎることがないという意味でしょうか。ダワダワを使った料理は、きっとおいしいに違いありません。


ヒロハフサマメノキはサバンナに生える木です。

私たち夫婦がガーナの中部の町クマシ(熱帯多雨林地域)で暮らした1960年代には、北部のサバンナの町々には一軒のレストランもありませんでした。ガーナで二番目に大きい町のクマシでさえ、レストランがなかった時代でした。
したがって、旅行中は携帯して行った灯油のコンロで、タマネギやトマトを煮てスープをつくり、缶詰めのスパゲティーをぶち込むような、お腹さえいっぱいになればいいというものを食べて、野宿していましたから、ダワダワは口にする機会がありませんでした。

  
ただ、マメ科の木には見覚えがあります。
バオバブと言い、ヒロハフサマメノキといい、有用な木は大切にされ、とくに乾季にはあちこちで目にしたものでした。

サバンナでは、雨季にはシコクビエやタカキビと言った雑穀を植えるので、道以外遠目が全然効かなくなりました。
  



正体不明だけど、美しい!


これは、中にコンクリートを流すための紙の筒、ボイド管です。
門のところに立てる丸柱をつくり、すでに穴の形に打ってあるコンクリートに、はめ込むのです。
どうしてその場でつくっておかなかったのかって?
作業棟の工事車両の出入りする位置に立てるので、邪魔になるからです。
さて、よく見ると、ボイド管になにか白いものがふわふわと生えています。下から三分の一くらいのところです。


「なに、これ?」
誰かの卵でしょうか。それともカビ?


これまで、ボイド管を切られたり、ここまで運ばれたり、中に鉄筋を入れられたりしたにもかかわらず、正体不明のものたちはしっかり付着しています。


ただ、これから先を考えると、長くはありません。
明日は中にコンクリートを入れられ、口からはみ出たのが多少は流れるでしょう。また、コンクリートが固まったら、紙はくるくるとむかれてしまう運命にあります。