2014年12月14日日曜日
「北の小箱」その四、地球のかけら
「北の小箱」に入っていた、黒曜石です。
見たところ、何の変哲もない丸石のようですが、黒曜石はどこにでもあるというものでなく、特定の場所でしか採れないものだそうです。
黒曜石は火成岩で、火山活動で流紋岩質マグマが高温高圧の状態から地上に 噴出したり、地表近くに貫入し急冷したときにできると言われています。ところがどの火山でもできるものでなく、酸性の火山岩(流紋岩)に伴ってできる火山ガラスなので、日本では産地が北海道と、本州中部、九州地方だけに集中しています。
これは、のらさんが十勝川河口近くの浦幌町昆布刈石(素敵な地名!)の海岸で拾われたもので、別名十勝石とも言います。
黒曜石は古代から、石器の材料として珍重されてきました。均質で貝殻状断口を示す石材であることから、細かい整形を必要とする両面を加工した石鏃など、あるいは鋭い刃が欲しいナイフなどの裁断石器をつくるとき、威力を発揮しました。
原産地が限られているのに、黒曜石製の石器類が出土する遺跡の分布は、それらの範囲を越えています。
どうやって伝播したのか。
なにせ古代のことなので、断定はできませんが、黒曜石をめぐって盛んに交易が行なわれていたのだろうと推察されているようです。
「割るとガラスだとわかりますよ」
とのらさんは教えてくれていますが、とても割れません。
ガラス質がよく見える、角のある黒曜石より、丸い黒曜石の方が数倍、数百倍好きです。
もっとも、割らなくても、ところどころガラス面が見られます。
これは、漂着石炭です。
燃料が石油などに完全に取って代わられる1980年代まで、たくさんの人たちが命がけで掘っていた石炭です。
石炭は重いものという印象がありましたが、黒曜石と比べると、信じられないほど軽く感じられました。石炭は良質なものほど軽く、比重は1.2ほど、黒曜石の比重は2.3から2.5です。
のらさんの推理では、浦幌町厚内の港内でこぼれた石炭が漂着したのではないかというものです。
かつて、浦幌炭鉱で彫った石炭は港まで鉄道で運び出され、そこで船に積み替えて各地に運ばれていました。
この石炭が「北の小箱」に入っていたため、荷物はにはこんな張り紙がされていました。石炭は、痩せても枯れても燃料、発火物なのでした。
海の波に長い間(何万年?)もまれてきた地球のかけらの黒曜石も、比較的短い時間もまれた石炭も、いろいろなことを、雄弁に語りかけてやみません。
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