たけさんがきて、おしゃべりしていました。
「今年は、ちよちゃんちの桃いっぺえ生っとるど」
「そう?」
「すげぇよ。いっぺえだ 」
私たちが八郷に来るまで、この丘の上の畑はどこも、何年も放棄されていました。
我が家の裏手のちよさんの畑も、三十年ほど前に、落花生の収穫期に一夜でイノシシに掘り返されたことから、農業で生きる時代でもなくなっていたこともあって、放棄されました。戦中戦後のお茶の栽培からはじまって、サツマイモ、ミョウガ、ウドなどなど植えていたという畑跡地は、私たちが来た当時は、イバラ、葛、篠竹まど入り混じって、もう足も踏み入れられない状態でした。
ところが私たちが住みついてから、あたりに人の気配が漂うようになりました。
野うさぎも遊び場を替え、ちよさんの家でも、息子のひろいちさんが果樹を植え、草を刈ったら出てきた蕗やミョウガを摘むようになり、やがて看護師さんでもう農業はまっぴらだったはずのえいこさんが、一部で野菜もつくるようになりました。
たけさんと桃の話をした日の夕方、ひろいちさんが桃を持ってきてくれました。
「あんまり消毒してないから、虫が入っているかもしれないけれど」
願ったりです。
桃の実と言えば、その昔、祖母の弟の家に木があって、季節に行くともいでくれました。家にも桃の木があったのだけれど、お雛祭りに花を楽しむだけ、一度も実が生ったことありませんでした。
そのため、桃は栽培が難しいものだと、子どもの頃から信じ込んでいました。
でも、袋掛けもしないでこんな実が、しかも摘果しないのにいっぱい生るとは驚きでした。
15個いただきましたが、たけさんちにも、くみさんちにもおすそわけあったはず、大豊作です。
こうやって見ると、実の大きさがわかりませんが、
我が家のすももと比べてみるとよくわかります。
すももは普通のサイズです。
まるで、練り切りでつくったお菓子のような、美しい桃でした。
2 件のコメント:
採ったばかりのガリガリの固いモモ、大好きです。おばあちゃんちの庭で「まだ早いよ」と言われても「食べていいでしょう?」ってもいでいました。小さくて甘くて・・・。春さんの写真を見ると、その味を思い出します。
mmerianさん
私も桃は固いのをがりがり食べるのも好きです。で、今日食べてみたら、もうがりがりしていませんでした。しっかり桃の食感でした。
柿も小さい頃、熟れるまで待てずに採って食べていたので、がりがりが好きです。タイ人は熟れていないグァバを砂糖とトウガラシ粉を混ぜたものをつけながら、がりがり食べるのが好きです。
祖母はねっとり熟した柿が好きでしたが。
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