2010年12月29日水曜日
ナツメグ
ナツメグ(ニクズク、Myristica officinalis)は、以前から持っていたものがなくなりそうになったとき、熱海のMさんからたっぷりいただいて、不自由なく使っていますが、じつは、種のままのものは、インド料理材料店にでも行かなければ、なかなか手に入らないものだったようです。
先日、長島さんから、インド土産のナツメグをいただきました。秋にインドで暮らすお嬢さんを訪ねたとき、南インドのケララに旅行して、農場に泊まって、その農場でつくっているナツメグを買ってきたそうです。
「ほら。こうなっているの」と殻に爪を当てると、すぐ破れました。とっても薄い殻を被っていたのです。
ナツメグといえば、その外側についているというメースを思い出します。殻つきのナツメグは見たことがありませんでしたが、メースも見たことがありません。
「メースもあったのかしら?」とたずねると、
「あったわよ」と、メースもいただいていまいました。
まだ、収穫して長く経っていないのでしょうか。とっても美しい色です。
ナツメグはすりおろさないとあまり匂いませんが、メースはそのままで、ナツメグと同じ香りを、強くただよわせています。
こうやって並べてみると、なんとなく元の様子が偲ばれます。
『花の王国』(荒俣宏著、平凡社1990)を開いてみましたら、載っていました。
厚い表皮の下にメースがあって、その下に薄い殻に包まれたナツメグが納まっている様子が、よくわかります。
この本によると、モルッカ諸島原産のナツメグは、12世紀末にはヨーロッパでも知られるようになりました。しかし高価で、イギリスではナツメグ1リーヴル(どのくらい?)が、羊3頭分の値段だったそうです。そして、16世紀にポルトガルがモルッカ諸島を占領するころには、ヨーロッパでは広く知られていました。
ナツメグは肉料理にもお菓子にも欠かせませんが、その販売が19世紀まで、何世紀にもわたってオランダに占有されるなど、裏に欲望や抑圧を秘めてきたようです。
うさぎ年、ようこそ
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