四万騎(しまき)農園では、広大な屋敷地の向こうに栗林が広がり、栗の下には野生種の菜の花が、 今を盛りと咲いていました。
四万騎野は、その昔は、ただ荒野が広がっているところで、現在の農園主Hさんの曾祖父が開拓されたものです。
農園では、栗の甘露煮、栗ジャム、栗の苗などを売っています。 ジャムはプレーンのほかにはラムとブランデーの入ったものがあります。
その店舗部分のテラスに、石が置いてあります。
「出土したのですか?」
「そう。このあたりには川もないから、誰かがどこからか持って来たんだろうね」
と、ご当代。
矢じりのような石もありましたが、ほとんどは私の好きな丸っこい石。
杵とかすりこぎで、何かをすりつぶすのに使ったんでしょうか?
中には、穿孔貝が穴を開けた石もあり、海から拾ってきたことがうかがえます。
ずっとずっと時代がさがって、アメリカ製トラクターの部品なんて出土品もありました。
この土器も、四万騎農園の敷地内から出たものだそうです。
「骨壷も出たけど、あげちゃいました」
「骨壷はどのくらいの大きさだったんですか?」
「このくらいかなぁ」
とご当代が両手でつくった形は、直径20センチ以上でした。
「骨も残っていたのですか?」
「残っていました。昔は土葬にして、数年経ってから掘り起こして埋め直したんでしょうな。親子二人の骨が入っていました」
そうそう、そんな埋葬はどこにでもありました。
私が小さい頃は、土葬も火葬もありました。土葬したお墓は土饅頭と呼ばれ、ふくらんでいて、子ども心に、生き返ったら苦しいだろうなと想像したものでした。
骨は、数年経ってから石のお墓をつくって埋め直されたはずですが、どうやったのか知りません。
近世には、誰も住んでいなかった四万騎野にも、古代には人が住んでいたのでしょう。
八郷に引っ越しして来てから、あちこちで土から出てきたものを見たり、地質を見たりするので、古代人の生活が、つい隣の人の生活のように身近なものになりました。
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